二つの祖国

  • 2015.12.31 Thursday
  • 23:30
2015年も残りわずかとなりました。
戦後70年の今年の最後の投稿として、あるインドネシアの家族をご紹介したいと思います。

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年の瀬も押し迫った12月29日、帽子の泉プロジェクト主催「有坂ちあきライブin名古屋Vol.2」でMCを務めてくれたインドネシア人留学生のプリちゃんが、来日したお父さんと妹さんと一緒にお正月を関西で過ごす途中に名古屋に寄ってくれたので、一緒にお昼を食べました。

プリちゃんのお父さんとはmiko-mikuは電話やSNSで連絡を取り合っていますが、会うのは10年ぶり。14才の妹のプルちゃんとは初めてです。

和食がいいということで、それぞれ天ぷらやカキフライなど。妹のプルちゃんはお刺身定食をリクエスト♪ 
とっても美味しそうに食べる姿を見て、miko-miku 聞いてみました。

miko-miku:プルちゃん、お刺身好きですか。
プルちゃん:大好き。
miko-miku:初めて食べた時から生のお魚大丈夫だったの。
プルちゃん:うん、全然平気でした。
お父さん :やっぱり日本人の血だなあ。
プリちゃん&miko-miku:ほんとだね。日本人の血を受け継いでいるよね〜。

そうなんです。プリちゃんとプルちゃんは8分の1日本人。お父さんはクォーターです。プリちゃんのひいお祖父さんが日本人なのです。

miko-miku:あれからもう14年経つんですね。
お父さん :はい。まだプリは今のプルより小さくて。母(プリちゃんのお祖母さん)はもう亡くなっていません。
      でも、今、プリは日本で勉強をしていて、私はmiko-mikuさんをお姉さんと呼んで家族でお付き合いが続いている。
miko-miku:本当に不思議なご縁ですね。

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2000年の夏、miko-mikuはかねてよりインドネシアの歴史や文化についていろいろ指導を受けてお世話になっていた東京在住のK氏からある依頼を受けました。
「私の縁のあるインドネシア人の親族が名古屋にいるらしいのです。消息を調べていただけませんか。」
「ご親族というのはインドネシアの方ですか。」
「いえ、日本人です。」

長年インドネシアとの友好に貢献してきたK氏は、その年の4月にインドネシアの関係者から、政府機関に勤務するある男性が日本人である祖父(男性の母の父)の一族を探していると聞き、捜索に協力することになりました。

この捜索依頼をした男性がプリちゃんのお父さんでした。

K氏が詳しく話を聞いてみると、それは見ず知らずの単なる日イ友好のお手伝いではありませんでした。
偶然にもK氏が第二次世界大戦中、インドネシア・スマトラ島の北部に駐屯していた部隊に所属していたその町で、K氏はプリちゃんのお父さんのお母さん(当時はもちろん子どもです)であるター子ちゃんに会っていたのです。

K氏は早速、元同じ部隊で戦後もずっと親しくしていたH氏に連絡を取りました。

K氏:
「スマトラ時代のター子ちゃんを覚えていますか。」
H氏:
「もちろんです。一年間同じ宿舎に住んでいて、今もター子ちゃんの写真を持っていますよ。早速コピー送りましょう。ター子ちゃんの居場所がわかったのですか。」
K氏:「インドネシアで元気に暮らしているそうですよ。」

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ター子ちゃんは商業民間人としてインドネシアに在住していた日本人のお父さんとインドネシア人のお母さんの間に生まれました。
開戦と同時にお父さんはオランダ軍に拘束連行され、行方不明になってしまいました。
ター子ちゃんとお母さんは、H氏が所属する部隊の隊長宿舎の裏庭の隅に住んでいて、お母さんは宿舎の炊事、洗濯、掃除等をして生活をしていたそうです。当時7才のター子ちゃんはH氏達に日本語で話しかけたり、一緒に日本の歌を歌ったりする利発で可愛い女の子だったそうです。

連行されてしまったお父さんの行方は知れず、終戦直後は現地の人とH氏達の部隊との間で争いもあったり、治安が日に日に悪化していきました。同地を去った後も、H氏達はター子ちゃんとお母さんの事が気にかかっていたそうです。
インドネシアの側から消息調査を依頼された事が、まさか自分達が折にふれ思い出していたター子ちゃんの消息に50数年ぶりにつながるとは…。H氏、K氏は感無量だったそうです。

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K氏は、インドネシアの駐屯地にいる間も、週1回の休日には町の人々と接したり、小学校を慰問して歌を教えたりしていたそうです。その当時から培われたインドネシア語力を活かして、ター子ちゃんの息子であるプリちゃんのお父さんとのその後のやり取りはK氏が担当されました。

K氏からH氏が所蔵していた母親(ター子ちゃん)の写真を航空便で受け取ったプリちゃんのお父さんからはすぐにお礼と捜索に至った経由が書かれた手紙が送られてきました。

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ター子ちゃんがお母さんとずっと行方を探していた日本人の父、オランダ軍に連行、抑留されていたお父さんが日本に帰国したことを知ったター子ちゃんは、多分日本大使館に調査依頼をしたと思われますが、判明した住所宛てにすぐに手紙を送りました。

でも、待ちに待った日本からの手紙は、お父さんからのものではなく、お父さんのお兄さんからのものでした。
手紙によると、ター子ちゃんのお父さんは帰国後、名古屋の私立大学に勤務していましたが1955年頃に亡くなったとのことでした。
戦後、それぞれ生活も苦しく、外国との手紙のやり取りも簡単ではない時代です。ましてお互い何とか共通で理解できるのが外国語である英語。その後はター子ちゃんの出した手紙にも返信がなくなり、音信は途絶えてしまいました。
でも、ずっと、ずっと、ター子ちゃんはお父さんのこと、お父さんの親族のことを知りたかったのです。

そして、ター子ちゃんは結婚して、生まれた4人の子どもの長男であるプリちゃんのお父さんが成人すると、日本の親族を探してまた交流ができるようにと言いました。
青年団活動を熱心に行っていたプリちゃんのお父さんは、政府主催の日本との交流事業等にも積極的に参加して、その都度何とか日本で親族探しができないか模索し続けましたが、長年音信の途絶えた一般の人の消息を追うことは簡単ではありませんでした。

やがて政府機関で勤務するようになって、任務で来日する機会も多くなりました。そんな折り、インドネシア関係者の人に相談したのがきっかけで、上述のK氏、そしてH氏につながる奇跡が起こったのです。
そして、短い期間ではあるものの名古屋の私立大学に勤務していたという情報から、K氏はmiko-mikuに調査を依頼されたのでした。

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2000年の夏、miko-mikuがその私立大学事務局に行ってみると、今想えば、当時は情報開示が今ほど厳しくなく、事務局の人は親切に古い書類を調べてくれました。ター子ちゃんが手紙を受け取った伯父さんのお名前の漢字も住所もわかりましたが、それをもとに当地の区役所に行ってお尋ねしたところ、お名前は見つかったのですが、すでに転居していて、これ以上は個人情報でお教えできないとのことでした。miko-mikuのお手伝いは一旦ここで終わりました。

でも! 灯台もと暗し。
親族の方の名前は珍しいお名前だったので、K氏の東京のお仲間が機転を利かせて、名古屋とその近郊地区の電話帳でそのお名前を探したところ、ありました! 名前がわずかな数だったので、早速電話してみたところ、なんとター子ちゃんのお父さんの兄の子ども、つまりター子ちゃんの従兄の方が出られ、無事つながることができたのです。

ター子ちゃんの名古屋の従兄さんは、H氏に手紙を送られ、自分達をこんなにも一所懸命探していたことに感動したと言ってくださいました。当時からデビ夫人はよくテレビに出演していましたが、その度に、叔父さんのインドネシアの奥さんと娘さん(ター子ちゃんとお母さん)はどうしているだろうかと家族で話していたそうです。

こうして、戦後50数年を経て、日本とインドネシアの家族がつながり、翌2001年、ター子ちゃんが、プリちゃんのお父さん、プリちゃん、プリちゃんのお母さんと一緒に来日され、日本の親族と劇的な対面が果たされました。
miko-mikuは、来日に合わせて東京から来られたK氏、H氏の随行とター子ちゃん一家の滞在中の通訳のお手伝いをしました。

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そうして偶然知り合ったプリちゃんファミリーとmiko-mikuが、14年経った今、名古屋でワイワイ一緒にお昼を食べて、そしてプリちゃんは帽子の泉プロジェクトの有坂さんのライブを手伝ってくれる…。
素晴らしい出会いに感謝しながら、ター子ちゃん、そしてター子ちゃんの日本人のお父さんに思いを馳せる大晦日でした。

戦争で大切な人と引き裂かれることのない、平和な世界になりますように。

来年も、障害のある方のためのコミュニケーション支援の活動をがんばります。
またこのブログでご報告や、日々の暮らし中で出会った素敵な人々をご紹介していきたいと思います。

来年も「ご一緒しましょ!」をどうぞよろしくお願いいたします。
皆さま、どうぞ良いお年を^^/。






 
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