セーターと母と仲間と (7) 夜更けの出前

  • 2016.02.11 Thursday
  • 22:07
「お父さんやるねー」と
ひとしきり二人で小さな声で笑い合った後、

母が話し出しました。

「お父さん、昨日の夜、ずいぶん遅くに来てね。」

「え、昨日? 病院来たの、お父さん。帰って来るのとっても遅かったよ。
『仕事で会合あるから今日は病院寄れない』って昨日の朝言ってて、
 今朝も何も言わないから…。
 じゃあ、miko-mikuが帰った後に、お父さん来たんだ。」

「11時過ぎだったかな。」

「えー。見つかったら怒られちゃうね。お母さん起きてたの。」

「うん。」

少しの静寂。

そうだよね。なかなか眠れないよね…。

母の短い頷きに、
口に出しては何も言わないけれど、
きっといろいろ想うことがあるのだと
胸がつまってしまうmiko-mikuでした。


黙っていると涙が出そうになってしまうので、
早く何か言わなくちゃ。


「急ぎの用事だったのかな。」

「ううん、会合の帰りだって、ちょっと酔っ払ってたわ。」

「ええー。夜中に酔って病院はまずいよねー。」

「カーテンのところから『よっ』って片手挙げてね。」

「想像できる。」

「『お寿司の折を作ってもらったから』って、
  そこの台のところに置いて、」

「うん。」

「『じゃ』って帰っちゃった。」

そう言って微笑んだ母はうれしそうで、
miko-mikuも一緒に笑ったけど、
だけど、とっても切なくて、

いけない、涙が決壊寸前。
miko-mikuおどけて言いました。


「出前だ。深夜の出前。お父さん、いいとこあるじゃない。
 でも、miko-mikuには何にも言わないんだもんなー。」

「そう。じゃ、秘密だったんだ。」

母、またうれしそう。

このまま。ずっとこのまま…。お願いします。

黙っているmiko-mikuを察したのか、母の方が話題を変えました。

母:そういえば、セーター編むの、どうした?

(続きます)
 
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