セーターと母と仲間と (14) 工芸に親しんで

  • 2016.04.11 Monday
  • 23:52
「何か聞かれた?」

「ううん、『体調崩して休んでいます』とだけ言ったから。」

「そう…。でもありがとう。気になっていたから、よかった。」

   * 

「お月謝を持って行ってくれてありがとう」という母の言葉を聞いて、
染色の習い事のこと、病気で中断することになって
きっと思うことがいろいろあるのだろうなと…

miko-mikuも、思い出すまいと思うのですが、
やっぱり悔しい気持ちがこみあげてきてしまいました。

  * * *

母は工芸の七宝焼を長くやっていて、
家に小さな電気炉の窯を置いて人に教えてもいました。

独特の釉薬の色使いでセンスの良さがうかがえ、
アクセサリーの依頼がよく来ていました。
10年以上出品していたキリスト教関係のバザーでは、
毎回必ず母のところに立ち寄り買い求めてくださる
ファンのような方もいました。

  * * *

母は病気になる2年程前から、当時人気絶頂の、
染色工芸家の主催する染色教室に通っていました。
一通りの基本的な技法を学んだ後、
絹の反物に手描きで模様を入れていき、
完成すると着物や帯に仕立ててもらいます。

それまで七宝焼の他にも、銅版画や革細工などいろいろ手がけた工芸の中でも、
染色は特に関心が深まったそうです。
「本当に面白い。やり甲斐がある」とよく言っていました。
これからはこれを究めてと、とても一所懸命勉強していたのです。
本当にうれしそうでした。

  * * *

ところが、通い始めてしばらくすると、
母は教室に行くのがなんとなく
憂鬱そうになってしまいました。

(続きます)
 
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