セーターと母と仲間と (15) 入門

  • 2016.05.29 Sunday
  • 22:46

染色教室の運営を含め、事業としてもその人気の染色家の活動は多岐にわたり、
miko-mikuも母に連れられて大きなホテルでのきらびやかな
ファッションショーを観に行ったりしたこともありましたが、

母としては、そうした華やぎの部分を愛でつつも、
とにかく染色の基本的な技術を早く習得し、いずれはその工芸家が生み出した
染色の既成の概念を超えた独特の染めの美を、自身の創作活動の中で
深めて行きたいという夢を持ったのだと思います。

ただ、教室の運営を含め、組織にはその人気の工芸家を頂点とした
強力なピラミッド型の階層分けがあり、
母は一番初歩的な入門クラスから、なかなか一つ上に
移ることができませんでした。

  * * *

いろいろな工芸に親しんで来た母でしたが
染色は初めてでしたから、入門クラスから始まったのは当然のことでしたが、
同じ教室の生徒さん達はもちろん、担当の先生を初め講師の方々にも
「とても上手」「初めてとは思えない」と褒められたと言っては
毎回うれしそうに帰って来ていました。

それまでの母の創作活動を間近で見てきたmiko-mikuとしては
先生方のお褒めの言葉も単なるお世辞ではないと思えましたが、
いずれにしても、母自身は新しく踏み入れた工芸の世界の学びを
純粋に楽しんでいて、その意味でうれしそうな母を見るmiko-mikuも
また心うれしくなるのでした。

  * * *  

ところが、しばらくすると教室から帰って来た時の表情が冴えなくなりました。
「スランプ?」と冗談めかして聞いてみたりしてもしばらくは
苦笑いするだけでしたが、とうとうある日ぽつりともらしました。

「クラスの先生がね、最近お母さんに厳しくて…」。

(続きます)
 
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